すべてがリアルな失恋ソング B’z『もう一度キスしたかった』

 

歌詞っていろんなパターンがありますよね。

  • 自分の心情をひたすら書く
  • 目に映った風景を言葉にする
  • あえて多くは語らない
  • ある一場面だけを描く
  • 美辞麗句を並べた女性の理想の恋愛観
  • 経験から学んだ教訓で締める
  • 恋人に語りかける

それぞれに良さはあるし、名曲もたくさんあります。

でも意外と少ないのが、

「出会いから別れまでをリアルに描写したもの」です。

 

いつどこでどんな人と出会って、どんな気持ちになって、どんな風に別れたのか。

それをすべて描き切った作品って、あまり聴かないんですよね。

 

それを見事にやった感があるのが、B’zの『もう一度キスしたかった』

 

とにかく、登場する2人の描写が超リアル。

ひとつの恋の始まりから終わりまでが全部書かれちゃっている感じ。

もし稲葉さん自身の体験談だったら、開けっ広げすぎです(笑)

恥ずかしくないのかな?って思うレベル。

 

でも、印象的なメロディーラインと相まって、最高の曲なんですよね。

ちょっと歌詞の物語を想像しながら、聴いてみてください。

『もう一度キスしたかった』

作詞:稲葉浩志

眩しい夏につかまえた 強くしなやかな指先
寂しい人ごみの街で 抑えていた恋をぶつけあった
本気に傷つくこと 恐れない澄んだ瞳が
雨の午前六時に 出て行く僕を包んで

曇る窓 優しく響かせて 流れる歌が哀しかった
ふりかえるあなたを抱き寄せて
もう一度キスしたかった

再会はすぐに訪れ やがて迷いはなくなり
秋の扉たたくまで 心寄せあい歩いてた
二人違う場所でしか 叶わぬ夢を持っているから
わずかな時間しか 残ってないと知っていた

燃え上がる想いははかなくて
逢えない日々がまた始まる
安らぎと偽りの言葉を 何一つ言えないままに

約束は交わされることなく 揺れている恋は泡のよう
ふりかえるあなたを抱き寄せて
もう一度キスしたかった

木枯らしが過ぎようとする頃
痩せてしまった二人の灯に
誘われてあなたはやってきた 決断を吹きかけるため

穏やかな笑顔作りながら
出会いを悔やむことはないと
言い聞かせグラスを開けた時 これが最後だと頷いた

白い息さよなら告げた時 車に乗り込んでゆく時
ふりかえるあなたを抱き寄せて
もう一度キスしたかった

 

リアルですよね、超リアル。

「雨の午前六時に 出て行く僕」「曇る窓」なんてエッチな表現もあったり。

二人はすぐに体を重ねたんだなって分かりますよね。

「曇る窓」は映画『タイタニック』の濡れ場シーンでも使われた表現でした。

 

夏のど真ん中に二人は出会います。

付き合う前から別れる運命にあることはお互い知っていたけど、気持ちは抑えられず。
離ればなれになるまでの数か月間だけ二人は付き合うことにします。

始めはどうせ別れる恋なのに…という迷いもあったけど、やがて勢いに任せて深く愛し合うようになる。

でもやっぱり別れはやってきます。

冬の始まりに最後の食事を共にして、二人は別れるという物語。

 

3回出てくるもう一度キスしたかった理由が全部違う点も面白いですね。

 

大学へ進学する時に地元で付き合っていた恋人と別れるとか、そういった恋かもしれません。

稲葉さんの地元岡山県の津山市から、進学した横浜国立大学のある神奈川県に行く時。

稲葉さんには音楽で生きていきたいという夢もあったでしょう。それが恋よりも譲れない決意。

部活の夏の大会が終わったタイミングで付き合い始めて、受験勉強を本格的にやり始める冬の始まりに別れるみたいな。

「俺、冬休みは受験勉強に専念したいから別れよう」って感じですかね(笑)
中学生、高校生あるあるですね。

当時は携帯もなかったし、遠距離恋愛になったらどう頑張ってもほぼ確実に別れることになるんですよね。

 

「もう一度キスしたかった」の歌詞には、稲葉さんのそんな時期の恋の思い出もミックスしたのかなーなんて妄想してます(笑)

朝帰りをしたり、車に乗ったりもしてるので、本筋はもうちょっと大人になってからの恋だと思いますけどね。

 

 

ちなみにこの曲はシングルでは発売されておらず、アルバム『IN THE LIFE』で初収録されました。

しかし人気に火が付き、ファン投票ではいつも上位にランクインするため、3枚のベストアルバムにも収録されています。

 

なんとファミマの入店時のあの音をもう一度キスしたかった風にアレンジする強者まで爆誕!!

面白いですね^^

 

 

ギター初心者の練習曲としても超おすすめ。

リズムが遅いので演奏するのはけっこう簡単なんですけど、
パワーコードのリフや、基本ポジションでのアルペジオ、チョーキングなどエレキ独自の奏法が入ったソロ。
エレキギターの基本となるテクニックを学べる超優秀な曲なんですよ。

最初にこの曲から練習してもいいくらいの素晴らしいギター教習曲になっています。

 

実は私が学生時代にエレキを始めたばかりの頃、この曲で練習したんですよね。

友達が先にギターをやってて「これ練習になるよ」って譜面のコピーをくれて。

いろんな意味で超名曲です。

 

コメント

  1. アルト より:

    白い息さよらな告げた時→白い息さよなら告げた後、です。

    • トモ より:

      アルトさん、はじめまして!

      ああー!!ホントですね!!誤字すいません。。。
      修正しておきました。ありがとうございます。